
帰省してお盆のお墓参りをしてきた。
祖父や父に手を合わせたのはもちろんなのだが、このお墓には父の弟で私の13歳年上の叔父も眠っている。
生前の叔父は結婚しておらず、仕事もしてるんだかどうかわからない趣味人だった。
世間一般にあまり立派とは評価されにくい人物だったが、幼い頃の私にはいろいろと知らない価値観を教えてくれるイカした叔父だった。
はじめて天神地下街のロッテリアでアップルパイ食べたのは叔父を訪ねたときだった。フレンチレストランでマナーなるものを教えてくれたのも叔父だ。ロシアンティーを教えてもらった時はしばらくハマって自作して愉しんだ。VANなどアイビールックもバイクも煙草も叔父から教わった。進学で故郷を出て行く時は、「武士の肌身金だ」と言って餞別をくれた。
長じて東京に来てからはとんとやり取りが途絶えていたが、私の同級生のところに寄っては消息を気にしてくれていたようだ。その同級生と叔父のことを話しているときに、「あんたにとってはどんな叔父だった?」と尋ねられた。
私はしばし考えた後に、「映画の『僕を育ててくれたテンダー・バー』のベン・アフレックみたいだった」と答えた。
「何それ?」と返した友人に『テンダー・バー』をアマプラで観るように勧めたのはもちろんだが、それの意味するところは、「叔父は、小学生の私には大人社会の窓でありヒーローだったな」とあらためて思い返したことにある。
お盆はかつて支えてくれた故人に想いを馳せる日なのだと思う。叔父さんありがとう、安らかにお眠りください。
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